
高校受験に向けて、英語をどのように勉強すればよいかわからないと感じていませんか?
この記事では、志望校に合格するための具体的な年間学習計画を紹介します。ここで紹介する順番で勉強を進めていけば、着実に力をつけることができます。
最後まで読むと、これから受験本番までに「何を」「どのように」勉強すればよいのかが明確になるため、勉強法で迷うことがなくなるはずです。ぜひ最後まで読んで、効率よく学習を進めていきましょう。

これまで20年間学習塾で指導を続けてきた、兵庫いぶき塾の塾長の篠原が解説します。
今回の内容はYouTubeでも解説しています。
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最初に取り組むべきことは「過去問」
高校受験の英語の勉強で最初に取り組むべきなのは「過去問」です。
「まだ何も勉強していないのに過去問?」と思うかもしれませんが、必ず1年分だけでも良いので、できるだけ早く取り組んでください。
なぜ最初に過去問をやるべきなのか
最初に過去問に取り組む理由は、「問題を知ること」が重要だからです。
受験勉強ではゴールを知っておくことで、これからの学習計画が立てやすくなります。
過去問を解いてチェックするべきこと
- 志望校の問題ではどのような問題が出題されるのか
- 長文の長さやリスニングのスピードはどのくらいか
- よく出題される文法や単語は何か
このようなポイントを実際に解いて体感することが大切です。
最初の過去問は点数は気にしなくてOK
この段階での得点が全く取れていなくても気にしなくて大丈夫です。
むしろ、高得点が取れるなら、そもそも受験勉強は必要ないはずです。
また、時間制限を気にする必要はありません。重要なのは、どんな問題が出題されるのかを把握することです。
問題傾向を知っておくことで、単語や文法、長文読解などの具体的な学習を進める際に、「この問題、過去問で見たことがある」だとか、「これ、出そうだな」といった感覚が掴めるようになります。
これこそが、過去問を最初に取り組むべき理由です。
高校受験英語の学習の全体的な流れ
過去問を解いてみるとわかることですが、多くの高校入試の英語の問題では長文問題が大きな割合を占めています。そのため、受験英語のゴールは長文問題が解けるようになることだと言えるでしょう。
しかし、長文問題だけを勉強していても長文は読めるようになりません。これが英語と他の教科との大きな違いです。
長文を読むために必要な力を順番につけていくイメージ
たとえば、理科なら生物の分野を学習すれば、生物の問題を解けるようになります。しかし、英語の場合、長文だけを勉強していても、すぐに長文が読めるようにはなりません。
なぜなら、長文は複数の文が組み合わさって成り立っているためです。そのため、長文を読めるようになるには、一文一文を正確に訳す力を養う必要があります。そして、一文一文を正確に訳すには、単語や文法の知識が欠かせません。
長文が読めるようになる力
- 高校受験に出る2,500個の単語を覚えている「単語力」
- 英語の文章のルールを理解する「文法力」
- 一文一文を正確に訳すための「精読力」
- 長文問題に対応するための「長文実戦力」
これらの力を順序よく身につけていくことで、最終的に長文をスムーズに読めるようになります。そのため、受験対策の学習は単語の習得から順番に進めていく必要があります。
単語の学習:夏休み終了までに1,800語を覚える
高校受験の英語で最初に取り組むべきなのは「単語」の学習です。単語力がないと、長文やリスニングの理解が難しくなるため、最初に単語をしっかり固めておくことが重要です。
最近の高校入試では長文中心になってきており、さらに長文の中で使われる単語が難しくなってきています。そのため、長文読解に本格的に取り組み始める頃には、単語は見た瞬間に意味が浮かぶ状態にしておく必要があります。
単語学習のポイント
単語の学習で意識すべきポイントは、まず「英語から日本語」に訳せるようになることです。
「日本語から英語に書けないとダメですか?」とよく質問を受けますが、最初は英語を見て日本語の意味がわかることを重視すべきです。というのも、細かいスペルにとらわれてしまうと、1日12語ペースで覚えるのが難しくなるから。最初は意味をしっかり覚えることを優先しましょう。
また、単語には複数の意味があることも多いですが、最初の段階では主要な意味を1つ確実に覚えることが大切です。単語を覚えるときに混乱してしまう場合は、「よく出る意味」や「最も基本的な意味」だけに集中すると、暗記しやすくなります。
おすすめの単語帳
具体的には、入試用の単語帳を一冊しっかり覚えることを目標にします。兵庫いぶき塾で実際に使用しているのが『昇級・昇段式英単語トレーニング1800』です。この単語帳は単語がレベル別に整理されているため、順番に学習を進めることで無理なく覚えられるようになっています。また、QRコードでリスニング音声も聞けるため、発音の確認もできるのが特徴です。
他には『ターゲット1800』もおすすめです。この単語帳も1,800語がレベル別に整理されており、入試レベルに必要な単語をしっかりカバーしています。
単語の学習スケジュール
目標としては、夏休み終了時(8月31日)までに1,800語を覚えることを設定します。4月1日から学習を開始すると、5か月間で1,800語を覚える必要がありますが、1日12語ペースで取り組めば十分に達成可能です。
文法の学習:8月15日までに完成を目指す
単語と並行して取り組むべきなのが「文法」の学習です。目標は8月15日(お盆休み)までに文法を完成させることです。
「最近の高校入試では文法問題はあまり出題されないから、文法の学習は必要ない」と思っている人もいるかもしれませんが、それは誤解です。文法の学習は絶対に必要です。
文法の学習が必要な理由
文法を知らないと、長文を正しく理解することも、リスニングを正確に聞き取ることもできません。英語において文法は「文章を組み立てるルール」です。そのルールを知らなければ、正確に意味を読み取ることはできません。
たとえば、次の文を見てください。
The news made me happy.
この文は「そのニュースは私を幸せにした」と訳します。しかし、"make" の用法を知らないと、「そのニュースは私を幸せに作った」という訳のわからない文章になってしまいます。
もちろん、出題する側もこうした点は理解しているので、文法を知らなければ正確に読み取れない問題を意図的に出題してきます。単語の意味だけを頼りに訳を組み立てようとすると、正確に訳せない問題が必ず出てきます。そのため、文法の学習は必要不可欠なのです。
文法を8月15日までに完成させるべき理由
文法の学習は8月15日、つまりお盆休みまでに終わらせることを目標にします。
理由は、9月からは長文やリスニングなど、より実戦的な勉強に入るためです。
学校の授業では3学期まで教科書に沿った授業が行われるため、入試直前まで文法の学習が終わらないケースが多くなります。たとえば、「New CROWN」という教科書を使っている場合、標準的なペースだと1月から2月に最終章で「間接疑問文」を学習します。
間接疑問文は入試でよく出題されますが、長文や並び替え問題の中に出てくることも多いです。入試直前に新しい文法を学習しているようでは、長文やリスニングの対策に十分な時間を割くことができません。
だからこそ、学校のペースに頼らず、文法は8月15日までに完成させることが重要です。
文法学習の進め方
文法の学習は、インプットとアウトプットの2つを並行して行います。
インプットでは、新しい文法の習得や、どういった文法があるのかを理解します。その後、アウトプットとして問題集を解き、学習した文法を実践で使えるようにします。
英文法のインプットの仕方
中学生におすすめできる文法をインプットする方法は2つあります。
①兵庫いぶき塾の授業

兵庫いぶき塾の授業では、塾長が直接指導します。
集団指導では4月から8月にかけて英文法をじっくりと学習し、中1・中2の内容を復習しながら中3の2学期以降の内容も先取りして学びます。また、1学期の定期テストで出題される範囲も含めて、英文法のマスターを目指します。
これまでに、兵庫いぶき塾で学んだ生徒の多くが英語の文法を得意分野にし、模試や入試本番で高得点を取っています。
集団指導の他に、オンラインでの個別レッスンも用意しています。オンライン個別レッスンでは、生徒一人ひとりの課題に合わせたオーダーメイドの指導を行っており、苦手な部分に集中して学習できる環境を整えています。
通塾でも、オンラインの個別でも無料体験の受講が可能!
②スタディサプリ

スタディサプリは、月額2,178円でプロの講師による授業が受けられるオンライン学習サービスです。
特に文法に関しては、基礎から応用まで幅広くカバーされているため、自分のペースで学習を進められます。また、動画は繰り返し視聴できるので、理解が不十分な部分を何度でも見直して復習できます。
実際に兵庫いぶき塾の授業でもスタディサプリを併用しており、文法の復習や定着に役立っています。
2週間の無料体験が受講可能!
兵庫いぶき塾とスタディサプリのどっちを選べばいいか
兵庫県西宮市生瀬東町の塾に通える方や、オンラインで私から直接指導を受けたい方には兵庫いぶき塾の授業がおすすめです。
一方、他の地域にお住まいの方や、個別指導は少し価格的に厳しいという方にはスタディサプリがおすすめです。
あわせて読みたい!
スタディサプリの評判や詳しいサービス内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。
英文法のアウトプットの練習の仕方
インプットができたら、学んだ範囲の問題集を解いてアウトプットしていきます。
市販の問題集なら『ニューコース問題集 中学英文法』がおすすめです。全20章で中学3年間の文法を学べるので、多少スタートが遅れてしまった場合でも、夏休みに集中して取り組むことで、夏休み終わりまでには学習を終えることができます。
また、問題集を解く際は、ただ正解するだけでなく、なぜその答えになるのかを意識することが重要です。答えを導き出す過程をしっかり理解しておくと、同じような問題が出題されたときに正確に対応できるようになります。
文法を8月15日までに完成させることで、9月から長文やリスニングなどの実戦的な学習にスムーズに移行できます。文法の力がしっかりついていれば、長文やリスニングの理解度も大きく向上します。
「文法は必要ない」という言葉に惑わされず、正しい学習手順でしっかり固めておきましょう。
精読の学習:夏休み後半から10月に取り組む
文法をお盆休みまでに固められたら、夏休み後半から10月にかけて「精読」に取り組みます。精読とは、一文一文を文法のルールに従って正確に日本語訳を作る練習のことです。
単語や文法を覚えるだけでは、長文を読んだときに正しく意味を理解できないことがあります。精読を行うことで文の構造を理解し、文章の意味を正確に読み取るスキルを身につけることができます。
なぜ精読が必要なのか
単語や文法を覚えるだけでは、実際に文章を読んだときに正確に意味を理解できないことがあります。
たとえば、次の文章を考えてみましょう。
The book that I bought yesterday is interesting.
この文を「私が昨日買った本は面白い」と訳すためには、関係代名詞 (that) の構造を理解している必要があります。きっちりと訳す練習ができていないと「昨日買った本が面白い」という正しい意味を理解するのは難しいものです。
これまでに学習してきた単語と文法を使って文章を一文ずつ訳していくのが精読と呼ばれる勉強です。
大学受験では、精読にあたる「英文解釈」という勉強は一般的に行われていますが、高校受験で精読をしっかり勉強している人は少数です。しかし、精読を勉強していくことで文章の構造が理解できるようになるため、長文読解がスムーズになります。特に、関係代名詞や不定詞、分詞修飾などが複雑に絡み合っている正確に意味を読み取りにくい文章でも、内容をしっかり把握できるようになります。
精読の具体的な方法
精読に取り組む際には、全国の高校入試問題を順番に訳していく方法が効果的です。『全国高校入試問題正解 分野別問題集』などを用意して、全国の入試問題の長文を丁寧に訳していきます。
精読を行う際に意識すべきポイントは3つあります。
精読の学習ポイント
- 主語と述語を正確に把握する
- 英文の構造を理解するために、主語と述語を見失わないことが重要です。
文が長くなっても、主語と述語を正しく捉えることで全体の構造を理解しやすくなります。 - 前置詞+名詞や関係代名詞、不定詞、分詞などの句や節を意識する
- 句や節が文のどの部分を修飾しているかを意識しながら読むことで、文の意味が明確になります。
- 修飾関係を正確に把握する
- どの単語やフレーズがどの部分を修飾しているのかを意識しながら読むことで、細かいニュアンスまで理解できるようになります。
精読で得られる効果
精読を行うことで、長文を読んだときに「何を言っているのかが分からない」という状態が解消されます。文の構造を正確に理解できるようになることで、内容をスムーズに読み取れるようになるためです。
また、精読を重ねることで関係代名詞や不定詞、分詞などが絡み合った難解な文章でも、正確に意味を読み取れるようになります。精読のスキルが身につけば、単語や文法の知識を総合的に使って長文を理解できるようになります。
精読は単語や文法を固めたうえで取り組むことで、長文の理解力を一段と高めることができます。特に、高校入試では関係代名詞や不定詞、分詞などが使われた複雑な文も多く出題されるため、精読の力をつけることが長文読解問題攻略への糸口になります。
長文の学習:11月から実戦的な演習に取り組む
11月からは、長文問題の演習でより実戦的な勉強に移ります。
高校受験の英語では、長文問題の配点が大きいため、長文をしっかりと理解できるかどうかが合否を左右します。単語や文法、精読で基礎を固めたら、いよいよ実戦レベルの長文問題に取り組んでいきます。
長文演習の進め方
長文の実戦演習では、できるだけ多くの入試問題を解くことが大切です。毎日1題は新しい問題を解くようにしましょう。
問題を解いたあとは、精読と音読を徹底してください。精読を行うことで、文の構造や意味を正確に理解できるようになります。また、音読をすることでリズムやフレーズを体に覚え込ませることができます。
音読では、スムーズに読めるようになるまで繰り返し練習します。特に意識すべきは音読のペースで内容が理解できるかどうか。内容の理解がおぼつかない文は、精読と音読を繰り返して、自然に意味が理解できるところまで復習しましょう。
おすすめの長文問題集
長文問題演習で役立つ問題集としておすすめなのが、「近畿の高校入試問題集」です。この問題集は、近畿圏の高校入試問題が単元別に整理されており、実戦的な問題を効率よく練習できるのが特徴です。近畿圏以外の中学生にも有効なので、Amazonなどで購入して活用するのがおすすめです。
リスニング対策も並行して行う
志望校でリスニングが出題される場合は、長文問題演習と合わせてリスニングの勉強も進めましょう。
リスニングも毎日問題を解き、聞き取る練習をすることが重要です。
リスニングの学習ポイント
- スクリプト(原稿)を見ながら復習を行い、どの部分が聞き取れなかったのかを確認。
- 同じ音声を繰り返し聞くことで、正確な発音や意味の取り方が身につける。
- 一度理解できたスクリプトは、目を閉じて耳だけで聞き取れるかどうかをチェックする。
長文で気づいた苦手な単語や文法を復習するのが大事
長文やリスニングの勉強を進めていると、単語や文法の理解が曖昧な部分が出てくることがあります。その場合は、その都度復習を行いましょう。
一度しっかり学習している単語や文法であれば、復習にそれほど時間はかからないはずです。長文やリスニングの演習でつまずいた部分をそのままにせず、必ず確認と復習をしておくことで、入試本番での対応力が格段に向上します。
過去問の学習:冬休みから本格的に取り組む
冬休みからは、過去問演習に本格的に挑戦しましょう。この時期の過去問演習は、受験勉強の最初に取り組んだ過去問とは異なり、より実践を意識した形で取り組むことが重要です。
時間を計って本番を意識する
過去問演習では、実際の試験と同じように時間を計って取り組むことが大切です。これにより、試験本番の緊張感や時間配分を体験できるため、実戦感覚を養うことができます。
問題を解く際には、必ず以下の点を意識しましょう。
過去問演習(直前期)の学習ポイント
- 時間配分:問題を解くスピードを確認し、時間内にすべての問題を解き切ることを目指す
- 正確性:焦って間違えやすくなるため、冷静に一つ一つの問題を丁寧に解く
- 復習を徹底:解いた問題は必ず復習をすること、単語や文法、精読は継続して取り組む。
思うように解けなくても気にしない
これまで計画的に学習を進めてきたとしても、最初の過去問演習では思うように解けないことがあるかもしれません。自信を失ったり、焦ったりすることもあるかもしれませんが、それは当たり前です。
過去問演習で大切なのは、「何ができて、何ができていないか」を確認することです。点数が悪くても落ち込まずに、弱点を確認する機会と捉えましょう。
過去問を解いたあとは、必ず復習を行います。
過去問の復習ポイント
- 間違えた問題を確認し、単語・文法・精読・長文・リスニングのメンテナンスを徹底する
- 同じミスを繰り返さないように、原因をしっかり分析する
- 必要に応じて、基礎に戻って復習する
復習を繰り返せば必ず成績は上がる
過去問演習を続けていくと、解けなかった問題が少しずつ解けるようになってきます。
これまでにも、入試当日まで合格点に届いていなかった生徒が、本番で逆転合格を果たしたケースを多く見てきました。地道に努力を積み重ねていけば、試験当日まで学力は着実に伸び続けます。
また、間違えた問題を放置せず、必ず復習して苦手をつぶしていくことが重要です。しっかりと復習とメンテナンスを行えば、過去問演習を繰り返すことで確実に成績は上がっていきます。
冬休みから入試本番に向けて、繰り返し過去問に取り組みましょう。
まとめ
ここまでの内容をまとめます。高校受験の英語を攻略するには、以下の5つのステップが重要です。
高校受験の英語の年間学習計画
- まず過去問で問題傾向をつかむこと
- 受験勉強の最初に過去問を解くことで、どのような問題が出題されるのかを確認します。問題傾向をつかむことで、その後の勉強が効率よく進められるようになります。
- 夏休みまでに「単語と文法」を固めること
- 英語の基礎は単語と文法です。夏休み終了までに単語帳を1冊仕上げ、文法を完成させることで、長文やリスニング対策がスムーズになります。
- 精読で文章を正しく読み取る力をつけること
- 単語と文法を固めたら、夏休み後半から10月にかけて精読に取り組みます。一文一文を正確に訳す練習を行うことで、長文問題への対応力が上がります。
- 11月以降は長文問題演習で実践力を高めること
- 11月からは毎日長文問題を解きます。実践的な問題を解きながら、精読や音読を繰り返すことで長文読解力を鍛えます。
- 冬休みから入試本番までは、本格的に過去問演習に取り組むこと
- 冬休みからは時間を計って本番形式で過去問に取り組みます。間違えた問題はその都度復習して弱点をつぶしていくことで、入試本番に向けて仕上げを行います。
高校受験の英語の勉強は、きっちり順序を守って学習を進めれば英語力がつき、どんどん得点を伸ばしていけます。
受験勉強を成功させるには、まず過去問をチェックすることから始めてみてください。
ここで紹介した方法を参考にして、計画的に学習を進めていきましょう。