子どもが不登校になってしまい、どのように子どもを支えたら良いか分からず、不安を抱えている保護者の方も多いのではないでしょうか。
不登校は子どもにとっても家族にとっても大きな問題です。
いぶきWebスクールの塾長である篠原は、これまで多くの不登校の子どもたちを対象に学習サポートを行ってきました。その中には、不登校を克服し、公立高校への進学を果たした受験生も数多くいます。
この記事では、子どもの心と体の回復を最優先に考えながら、自宅でできるサポート方法を具体的に紹介します。通信教材やオンライン授業の活用、支援制度を利用する方法を取り上げ、不登校期間をポジティブに活用するためのヒントをお伝えします。また、子どもの気持ちに寄り添い、家族全体で不安を軽減しながら前向きに進むための手助けとなる情報を提供します。
お子さまの状況に合わせて、適切なサポートを選び、この時間を乗り越えていきましょう。
不登校中の中学生が自宅で取り組むと良いこと
不登校中の子どもの家での過ごし方は、まずは心と体の回復を優先しながら、無理のない範囲で活動を取り入れていくことが大切です。ここでは、以下のようなリラックスできる工夫や、心身を整えるための具体的なアイデアを紹介します。
不登校中の中学生が自宅で取り組むと良いこと
- 心と体の回復を最優先する
- 子どもの関心や好きなこと
- 規則正しい生活習慣を身に付ける
- 趣味や創造的な活動を楽しむ
- 可能な範囲で外出する習慣を作る
それぞれ詳しく解説します。
心と体の回復を最優先する
不登校中の子どもにとって、心身の回復は最も優先されるべき課題です。
学校生活によるストレスから解放され、心と体をしっかり休めることが回復への第一歩となります。
例えば、好きな音楽を楽しんだり、ペットと一緒に過ごす時間を増やすといった、子どもが安心して過ごせる環境を整えることが有効です。また、無理にスケジュールを詰め込むのではなく、自然なペースで過ごせるよう配慮することが重要です。
十分な休息を取ることで、子どもは徐々にエネルギーを取り戻し、自分自身を見つめ直す時間を持つことができます。無理をしない姿勢を示すことは、子どもとの信頼関係を深める基盤にもなります。
子どもの関心や好きなこと
不登校中の子どもが自分の興味を見つけることは、自己肯定感を高める貴重な機会となります。
調査結果によれば、不登校の子どもたちは一般の児童生徒と比べて自己肯定感が低い傾向があることがわかっています。
川崎市の調査では、「自分のことが好き」「まあ好き」と答えた不登校の子どもは47.4%にとどまり、一般的な児童生徒の72.8%を大きく下回っています。一方で、「あまり好きでない」「好きでない」と否定的に回答した割合は、不登校の子どもが51.4%と、一般的な児童生徒の26.8%の約2倍に上っています。
(引用元:不登校のこども (1 ) アンケート調査結果(川崎市))
例えば、ゲームや絵を描くなど、好きなことに時間を費やすのは、楽しみながら心を癒す方法の一つです。親や家族は、子どもの興味を否定せず、積極的に応援する姿勢を示すことが重要です。
具体的には、子どもが関心を持つ分野に関連する本を一緒に選ぶ、またはその活動をより楽しむための道具を用意するなど、環境を整えるサポートが効果的です。
これにより、子どもは達成感を得やすくなり、前向きな気持ちを育てることができます。
規則正しい生活習慣を身に付ける
不登校中でも生活が乱れないようにするためには、規則正しい生活リズムを整えることが非常に重要です。
調査によると、生活リズムの乱れは不登校の要因として大きな影響を与えることが分かっています。特に小学生の場合、不登校のきっかけとして最も多かったのは「生活リズムの乱れ・遊び・非行」であり、全体の22.7%を占めていました。
(引用元:PR TIMES「小学生「生活リズムの乱れ・遊び・非行」、中学生「体調不良」が不登校のきっかけ1位!」)
睡眠時間や食事の時間を一定に保つことで、生活リズムの安定が図れます。例えば、毎朝同じ時間に起きて朝食を取る習慣を身につけることで、1日をスムーズに始めることができるでしょう。
親が子どもと一緒に取り組むことで、子どもも生活リズムを整えやすくなります。また、目標を設定して少しずつ実践することで、子どもが自信を取り戻すきっかけにもつながります。
趣味や創造的な活動を楽しむ
音楽や絵画、DIYなどの創造的な活動を取り入れることは、とても効果的です。
これらの活動を通じて、子どもは心をリラックスさせるとともに、創造力を高めることができます。
例えば、楽器に挑戦してみたり、簡単な工作に取り組んでみたりすることで、達成感を味わえる趣味を提案するのも良い方法です。
こうした創造的な活動は、ストレスの軽減に役立つだけでなく、新しいスキルを習得するきっかけにもなります。また、家族で一緒に楽しむことで、親子の絆を深める時間としても活用できるでしょう。
可能な範囲で外出する習慣を作る
短時間の外出や自然と触れ合うことも非常に効果的です。
学校に通えず、自宅で過ごす時間が増える子どもにとって、これらは気分転換に大きな助けとなります。
例えば、近所の公園を軽く散歩するだけでも、リフレッシュ効果が期待できます。外出が難しい場合には、窓を開けて新鮮な空気を取り入れるだけでも気分を変えることができます。
無理のない範囲で外出する習慣を作ることで、子どもは少しずつ外の世界に対してポジティブな気持ちを抱くようになるでしょう。特に、自然の中で過ごす時間は高いリラックス効果があるとされています。
不登校中の中学生と向き合う家族や保護者の役割
不登校中の子どもに対して家族や保護者が果たす役割は非常に重要です。
ここからは、家庭での適切なサポート方法や、子どもと関わる際の具体的なポイントを解説します。
不登校中の中学生と家族や保護者が関わる際の重要なポイント
- 不登校の状況を責める言動を避ける
- 子どもとのコミュニケーションを深める
- 家族の一員としての役割を持たせる
- 他の子どもと比較しないようにする
- 将来の目標や夢に対して前向きな視点を持つ
- 必要があれば専門機関や支援団体の力を活用する
それぞれ詳しく解説します。
不登校の状況を責める言動を避ける
不登校の原因を追及するよりも、まずは子どもの気持ちに寄り添い、安心感を与えることが何よりも重要です。
不登校は、子どもにとって非常に繊細な問題です。責めるような態度を取ると、子どもはさらに心を閉ざしてしまい、家庭内での信頼関係が損なわれる恐れがあります。
例えば、不登校になった中学生の保護者が、「学校に行かないと将来困る」といったプレッシャーを与える言葉を避け、「今どんな気持ちでいるの?」など、子どもが話しやすい言葉を使って対話を心がけました。その結果、子どもは少しずつ大人に相談できなかった思いを打ち明けるようになり、周囲の支援もあって学校への復帰に前向きな気持ちを持つことができたそうです。
このように、親が子どもの気持ちを理解しようと努力する姿勢を見せることで、信頼関係が少しずつ築かれていく良い例と言えるでしょう。
子どもとのコミュニケーションを深める
子どもが自分の気持ちを話せる環境を整えることが大切です。
前述の家庭では、無理に話を引き出そうとはせず、日常の会話を通じて安心感を与えることを心がけていたようです。
例えば、子どもが関心を持つ話題をきっかけに会話を始めることで、徐々に信頼関係を深めていきました。また、会話の中で否定的な言葉や評価を控え、「そうだったんだね」「それはつらかったね」といった共感を示す言葉を使っていたそうです。
このように、話しやすい雰囲気を作ることで、子どもは自然と自分の気持ちを伝えやすくなるのです。
家族の一員としての役割を持たせる
また、学校に通えていない期間中に家族の中で簡単な役割を任せたことで、不登校からの復帰に繋がったという声もあります。
家族の中で役割を持つことで、子どもは「自分は必要とされている」と感じることができます。
例えば、食事の準備を手伝う、ペットの世話を担当するなど、小さなタスクを通じてすこしずつ失い欠けていた自信を取り戻すことが可能です。
この際、無理に役割を押し付けるのではなく、子どもが自分のペースで取り組めるようにすることが大切です。最初は簡単なタスクから始めると、子どもも受け入れやすくなります。
こうした役割を通じて、子どもが家族の一員としての意識を高められるよう支援し、少しずつ日常生活への自信を取り戻せるようサポートしていきましょう。
他の子どもと比較しないようにする
他人と比較することは、子どもの自己肯定感を下げる大きな原因になります。
特に不登校の時期は、子どもが自信を失いやすい状況にあるため、子どものペースを尊重し、成長を温かく見守る姿勢が信頼関係を築く上で欠かせません。
例えば、「◯◯ちゃんはこれができるのに」といった比較の言葉を避けることが大切です。その代わりに、「あなたにはこんな素晴らしいところがあるね」と個性を認める言葉を使うことで、子どもを励ますことができます。
他人と比べるのではなく、子ども自身の成長や努力を褒めることで、自己肯定感を高めるサポートができるでしょう。
将来の目標や夢に対して前向きな視点を持つ
不登校の期間を通じて、子どもの将来について前向きに考える時間を作ることが大切です。
一緒に夢や目標について話し合い、明るい未来を描くサポートをすることで、子どもに希望を持たせることができます。
例えば、「将来やってみたいことがあれば教えてね」と声をかけ、子どもが自由に考えられる環境を整えましょう。
具体的な進路を急いで決める必要はありません。まずは、子どもが興味を持てる分野を見つけるきっかけ作りを心がけることが重要です。
必要があれば専門機関や支援団体の力を活用する
家庭だけで対応が難しい場合には、専門機関や支援団体の力を借りることを考えましょう。
地域には教育支援センターや子育て相談窓口など、親子をサポートする多くの機関があります。
例えば、教育支援センターでは、子どもに適した学習支援やカウンセリングを受けることができます。
また、引きこもり地域支援センターでは、社会復帰に向けたステップを専門家と一緒に計画することが可能です。
このような外部の専門機関を利用することで、家庭だけでは解決が難しい課題に対して、新しい解決策が見つかるかもしれません。
教育支援センター
地域にある教育支援センターでは、子どもの学習や学校生活に関するサポートを提供しています。子どもや保護者が抱えるさまざまな問題について相談できる窓口が設置されており、専門スタッフによる学習支援やカウンセリングも受けることが可能です。
子育て相談窓口
親が抱える不安や悩みを相談できる窓口として、子育て相談窓口があります。育児のストレスや子どもの成長に関する心配事などについて、気軽に専門家に相談することができ、解決へのヒントやアドバイスをもらえる場です。
児童相談所
児童相談所は、子どもに特化した専門的な支援を提供する施設です。虐待や家庭環境の問題だけでなく、不登校や発達に関する相談も受け付けています。子どもの最善の利益を考えた対応を行い、必要に応じて適切な支援機関へつなげる役割を果たします。
ひきこもり地域支援センター
引きこもりに悩む本人や家族を支援するためのひきこもり地域支援センターでは、社会復帰に向けた支援を行っています。相談を通じて専門家と一緒に解決策を見つけたり、必要に応じて就労支援や居場所提供などのサービスを受けることができます。
不登校中の中学生が挑戦できる自宅学習のヒント
子どもが不登校になった場合、保護者として特に気がかりになるのは学習面ではないでしょうか。
さまざまな理由から学校に通えなくなってしまったとしても、「しっかり勉強させたい」と考える中学生の保護者の方も多いことでしょう。
ここからは、無理なく自宅で挑戦できる学習方法や、効率的に知識を身につけるための具体的なヒントを紹介します。
不登校中の中学生が挑戦できる自宅学習のヒント
- 通信教材を活用して学習リズムを整える
- 動画教材を利用して効率的に学ぶ
- 出席扱い認定制度がある教材を活用する
通信教材を活用して学習リズムを整える
通信教材は、自宅での学習を効果的に支援する便利な方法です。
不登校中の子どもが自分のペースで学習に取り組める環境を提供することで、安心感を与えることができます。
例えば、「進研ゼミ中学講座」では、毎月紙教材やタブレット教材が自宅に届き、学習内容の優先順位が整理されているため、計画的に学習を進めやすくなります。さらに、進捗状況を確認できる機能が搭載された教材を選ぶことで、学習意欲を高める手助けにもなります。
また、無料体験版を利用することで、お子さんに合った教材かどうかを事前に確認するのも一つの方法です。
動画教材を利用して効率的に学ぶ
授業動画を提供するオンライン教材は、不登校中の子どもが学校に通っているような感覚を取り戻すために効果的な方法です。
「スタディサプリ」などのサービスでは、教科ごとに分かりやすい解説動画が揃っており、基礎から応用まで幅広く学べる環境が整っています。
さらに、動画を繰り返し視聴できる点も大きなメリットです。理解が難しい内容を何度も見直すことで、知識の定着が促されます。
また、学習スケジュールを設定し、毎日一定の学習時間を確保することで、学習習慣を再び構築することができます。例えば、英語と数学をそれぞれ1時間ずつ取り組むことで、学習のリズムを安定させることが可能です。
出席扱い認定制度の活用
不登校期間中でも、「出席扱い認定制度」を利用することで、学びながら出席日数を確保することができます。この制度は、進級や卒業に必要な条件を満たす上で非常に有効です。
例えば、「すらら」などの教材を活用すれば、通信学習を通じて出席日数として認められる場合があります。
さらに、学校とのつながりを維持しながら学べる環境を整えることで、子どもは安心して学習を続けることが可能になります。
特に高校受験を目指している場合には、内申点を維持するためにも、この制度は重要な役割を果たします。
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不登校の中学生のための通信教材については、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://hyogoibuki.com/webschool/juniorhighschool-absenteeism-tsushin-kyoiku/まとめ
不登校は、子どもやその家族にとって大きな課題ではありますが、適切なサポートと理解があれば、心と体の回復を図りながら次の一歩を踏み出すことができます。
この記事では、不登校中の子どもを支えるための具体策として、心身の回復を優先した生活習慣の整え方や、通信教材やオンライン授業の活用方法について詳しく紹介しています。さらに、家庭内での役割を通じた自己肯定感の向上や、支援機関の利用についても取り上げています。
不登校中の子どもが自宅で学びを続ける際、通信教材を利用することは非常に効果的な選択肢です。
通信教材を使えば、自分のペースで学習を進めつつ、進級や高校受験に向けた準備を進めることが可能です。
例えば、「進研ゼミ中学講座」や「スタディサプリ」などの教材は、子どもが自分に合ったペースで学習を進めるための環境づくりに役立ちます。また、「すらら」のような教材を活用することで、出席扱い認定制度を活かしながら進路を支援することもできます。
この記事を参考に、お子さんに最適なサポートを選択し、家族全員で前向きにこの期間を乗り越えていきましょう。無理のないペースで一歩ずつ取り組むことが、明るい未来への大切な一歩となります。
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不登校の中学生のための通信教材については、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://hyogoibuki.com/webschool/juniorhighschool-absenteeism-tsushin-kyoiku/